大根仁「SUNNY強い気持ち・強い愛」の考察レビュー【ネタバレ感想】

SUNNY「強い気持ち・強い愛」を観てきました。

モテキの大根仁監督の作品ということで、演出がやはり楽しい映画でした。

当記事では、作品の感想と考察を書いていきますね。

映画「モテキ」の感想・考察

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SUNNY「強い気持ち・強い愛」とはどんな映画?

1990年台後半のコギャルブーム、懐かしのJ-POPに彩られた華やかな「過去」。

決して、思い通りにならず、理不尽でままならないことばかりの「現在」。

その2つの世界を行ったり来たりする「エンターテイメント」というか「ヒューマンドラマ」でした。

 

SUNNYのあらすじ

SUNNYのあらすじを引用します。

日本中の女子高生がルーズソックスを履き、
空前のコギャルブームに沸いた90年代、
そんな時代に青春を謳歌した女子高校生の仲良しグループ「サニー」のメンバー6人は、
20年以上の時を経てそれぞれ問題を抱える大人になっていた。
専業主婦の奈美は、ある日、久しぶりにかつての親友・芹香と再会するが、彼女は末期ガンにおかされていた……。
「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」。
芹香の願いを叶えるため、奈美が動き出す。裕子、心、梅、そして奈々……、
かつての仲間は無事、芹香の前に再集結できるのか?

http://sunny-movie.jp/about/story.html

 

SUNNYの原作は、韓国の映画「サニー 永遠の仲間たち」です。

これを日本向けにリメイクした作品が、今作『SUNNY「強い気持ち・強い愛」』です。

 

SUNNYの登場人物

SUNNYの登場人物です。

現在と過去を行き来する物語なので、それぞれのキャラクタごとに二人の役者が演じています。

  • 阿部奈美:篠原涼子
  • 阿部奈美(女子高生時代):広瀬すず
  • 伊藤芹香:板谷由夏
  • 伊藤芹香(女子高生時代):山本舞香
  • 裕子:小池栄子
  • 裕子(女子高生時代):野田美桜
  • 心:ともさかりえ
  • 心(女子高生時代):田辺桃子
  • 梅:渡辺直美
  • 梅(女子高生時代):富田望生
  • 奈々:池田エライザ

とにかくね…広瀬すずと、山本舞香と、池田エライザの女子高生姿が可愛すぎた。

 

あと、三浦春馬とかリリー・フランキーも出ています。

役にピッタリの演技とキャラクターでした、自然すぎてビビる。

 

SUNNYのスタッフ

SUNNYのスタッフは以下のとおり

  • 原作:「Sunny(邦題:『サニー 永遠の仲間たち』)」CJ E&M CORPORATION
  • 監督・脚本:大根仁
  • 音楽:小室哲哉

監督は大根仁監督です。

モテキ、バクマン、スクープなどの映画で有名です。

※個人的には「恋の渦」という六畳一間ドラマが大好きです

 

今回も大根仁節全開!

ミュージカル風の演出、脚本の妙、そして女の子のちょっとエロい撮り方…など「大根仁」が好きなら必見の映画でした。

 

SUNNYの音楽楽曲は90年台のJPOP

SUNNYの音楽は90年台のJPOPです。

安室奈美恵が引退した2018年。

この年にアムラー全盛期のこの映画を見れてよかったかも。

 

作品のテーマとなっている曲は小沢健二「強い気持ち・強い愛 Metropolitan Love Affair」です。

映画館を出るとこの曲をリピートで聞きたくなりますw

 

その他の曲は以下のとおり

  • 安室奈美恵「Don’t wanna cry」
  • 安室奈美恵「SWEET 19 BLUES」
  • 久保田利伸 with NAOMI CAMPBELL「LA・LA・LA LOVE SONG」
  • hitomi「CANDY GIRL」
  • TRF「survival dAnce 〜no no cry more〜」
  • TRF「EZ DO DANCE」
  • JUDY AND MARY「そばかす」
  • PUFFY「これが私の生きる道」
  • CHARA「やさしい気持ち」
  • 森田童子「ぼくたちの失敗」

繰り返し流れる SWEET 19 BLUEが切なくてよかった。

 

SUNNY「強い気持ち・強い愛」のネタバレ感想考察

SUNNY「強い気持ち・強い愛」のネタバレ感想考察です。

救いようのない「現実の残酷さ」

この映画は、陰と陽がくっきりとコントラストを作っています。

 

まず、「陰」の部分は以下のとおり。

過去に関しては2つの大きな出来事がありました。

  • 主人公の阿部奈美は初恋の相手「藤井渉」に彼女がいることを知り失恋する
  • ヤク中JK(ブリタに)が菜々の顔を傷つける

モデル家業もしていた菜々の顔に傷がつき救急車で搬送。

さらに練習したダンス発表が流れてしまったことをきっかけに、SUNNYは解散してしまいます(その後皆で集まることは無かったと言っていました)

 

時はたち、彼女たちは再会します。

しかしなんとも「ままならねぇ」人生が待っていました。

まず、映画の冒頭。

娘は反抗期、夫はお金で何事も解決しようとする、しかも奈美の都合はお構いなしに仕事で1ヶ月も海外出張する。

阿部奈美の一見「不幸」な家庭の映像が流れます。

しかし、ここから友人たちとの出会いの中で、阿部奈美は特別不幸ではなかったことがわかります。

  • 伊藤芹香は仕事こそ成功しているものの、余命1ヶ月のガン。身寄りもいない孤独な状況
  • 裕子はセレブマダムになったが、夫に浮気されている(からの離婚)
  • 梅は夫のDVとパチンコ依存で借金のある家庭。仕事も全然うまくいかない
  • 心は経営に失敗、アル中になり、離婚。子供とも離れて場末のスナックを細々と運営

そんな色々な問題があるメンバーですが、無事に全員が揃った上で裕子が死んでしまうのかな…と誰もが思っていたはず。

と、思いきや「突然の死」。

現実は非情です。

こういう不幸と悲しみの上でこそ、「過去の姿」が輝いて見えました。

 

全力で人生を楽しんでいたあの頃のエネルギー

この映画の陰と陽の「陽」の部分。

「全力で人生を楽しんでいたあの頃(過去)」が映画の見所の一つです。

 

SUNNYのメンバー・女子高生たちは、未来に不安もなく今を全力で生きていました。

その心象風景を大根仁は得意のミュージカル風演出で表します。

主人公の阿部奈美の登校シーン。

LALALA LOVESONGをBGMに展開される「コギャル全盛期の頃の、女子高生生活」の幕開けです。

いつもの大根仁演出を見れたので、この時点で私は満足でしたw

 

その後も街に繰り出しプリクラを撮り、お菓子を食べて、カラオケに行って…

いつものメンバーで、毎日をただただ楽しく生きている姿が輝いて見えます。

 

繰り返し行き来する暗い「現実」との退避で、余計にそうやって見えてしまいますね。

 

キャッチコピー「青春と、再会する」あるいは「人生を、再開する」

物語の最後、伊藤芹香は予定よりも速く急死してしまいます。

 

去り際に芹香は、

仕事のない梅のために仕事を、

お金のない心のためにお金を、

キッカケのない奈々にキッカケを与えます。

 

そしてもう一つ、

あの日出来なかったSUNNYの踊りの発表場所を与えました。

思い出になるはずだった「発表会」の再現。

奈々も含めて、勢揃いしたSUNNYのメンバー。

彼女たちの止まっていたときは動き出しました。

 

この映画のキャッチコピーは「青春と、再会する」です。

あるいは「人生を、再開する」と言い換えても良いかも知れません。

 

SUNNYを観終わった後に

ってことで、暗くてシンドいながらも(やや強引に)前向きに終わる物語SUNNYでした。

娯楽的な演出の素晴らしさ、女優たちの演技、サクサク進む物語展開、大変良かったです。

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この後私が行う予定は二つ。

SUNNYの原作(韓国映画)を観ること。

サニー 永遠の仲間たち(字幕版)

あとは、小沢健二の「強い気持ち・強い愛」が脳内リピート止まらなくなったので、映画のサントラを聞くことですw

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