ファンタジー恋愛漫画「恋は光」の感想と考察記事です。
普段は恋愛漫画を読まないけど、頭を使う漫画が好きな人が、楽しめるタイプの漫画でした
作品を一貫して流れる「ロジカルさ」が独特の空気を醸し出します。
前半はネタバレ無しで作品紹介、後半はネタバレありの考察・感想です。
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目次
「恋は光」の紹介(ファンタジー恋愛漫画)【ネタバレ無し】
「恋は光」の紹介です。
この漫画、ジャンルとしては「ファンタジー&恋愛」です。
主人公は、大学生の西条という男性。
彼は小学校からの女友達である北代に
「恋をしている女性がキラキラして見える(光を発している)」
と語ります。
主人公の西条は「本当に光を発しているように見えている」ようです。

引用元:恋は光
彼の見る
- 「光とは何か?」
- 「恋とはなにか?」
というお話です。
恋は光のあらすじと登場人物
恋は光のあらすじ(1巻の最初)はこんな感じ↓
- ある日、西条(主人公)は、大学の授業で隣に座る女性(東雲)に話しかける
- 東雲は「恋というものを知りたい」と語り、西条は「この人が俺に恋をしてくれたら」と考える
- 西条は東雲に「交換日記」を持ちかけて、二人はお互いのことを知っていく
という話です。
優しいが変人な西条と、可愛いけどクラスでも変わり者の東雲の恋物語です。

引用元:恋は光
「2人の物語」と言いたいところですが、登場人物は他にもいて
- 西条の小学校の頃からの幼馴染の女友達「北代」
- 他人の男を奪うのが好きな美女「宿木」
も交えての四角関係になります。
ジャンプ漫画でいうと「いちご100%」とかみたいに、誰とくっつくのか分からない系の恋愛漫画です。
※東雲ちゃんはこちら↓
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一風変わったハーレム漫画(恋愛漫画の変化系)
「恋は光」は、主人公の西条を取り合うハーレムものとも言えます。
しかし、マガジンとかでやっていそうなラブコメとは空気が違います。
大学生ということもあり、落ち着いていますし、理知的な男女関係が面白いです。
女性たち3人が、互いに友人が少ないこともあり、徐々に女性の友情が育まれていくのも面白いです。
「モテる主人公男性」にフォーカスしているというよりも、
- 光とはなにか?
- 恋とはなにか?
- 友情と恋はどちらを優先するのか?
みたいな話が語られていて、ちょっと大人向け(アダルティな意味ではなく、精神年齢高め)です。
今までにないタイプの恋愛漫画といいますか、変化球的な漫画だな、と思います。
7巻完結でサクッと読めて、最後まで面白い漫画なので、オススメです~
「恋は光」の面白さ考察。謎とロジカルさがポイント(1巻のややネタバレあり)
「恋は光」の面白さについて語ります。
1巻の途中までのネタバレあります。
「恋は光」の光とはなにか?謎とミステリーが物語を引っ張る
「恋は光」というタイトルが示すとおり、主人公が感じる「光」=「恋」なのだな、と思いながら読み進めると、4話当たりで「あれ?」となります。
主人公の幼馴染の女友達(北代)は主人公(西条)の良き相談相手で、実は彼のことが昔から好きです。
しかし、西条は「北代は光って見えない」と語ります。
ということで「光はなにか?」という作品の謎が、ずっと引きずられたまま物語は進みます。
7巻の最終巻でようやく答えが出ていますし、その答えも作品テーマと相まって「なるほどなー」というものでした。
「恋は光」の面白さは「ロジカルさ」にあり
「恋は光」の面白さは「ロジカルさ」にあります。
先程の「光の正体はなにか?」というキッカケは物語を引っ張るものです。
一方で、答えにたどり着くための「そもそも恋とは何か?」というところを探求するのが、東雲(ヒロイン)です。
彼女は、友達もいなく、浮世離れしている存在です(大学生ですが携帯電話を持っていないです)。
小説が好きで「恋とはなにか」を物語の中に求めます。
どんな考えも言語化することが好きですして、その「語り口調」と「発想」が読んでいて面白いです。
で、この彼女を筆頭に出てくるキャラクタが全員ロジカル(論理的)なんですよね
- 西条:「付き合う」とは何か、「付き合ったらどうあるべきか」を考える
- 東雲:「恋」とは何か、その定義を探し求める
- 北代:自分の決めた立ち位置をズラさない
- 宿木:自分が得する・損しないための方法に限りなく忠実
という感じで、キャラごとに「芯」があります。
全員、自分の考える「(言語化出来る)正しさ」に引きずられて行動しています。
「とにかくこの人が良いんだ!!」という少女漫画でよくある恋愛とは異なります。
こういう風なキャラ設定をすると「記号的」になりがちです。
しかし「恋は光」では、キャラごとの感情表現の豊かさや、物語のスピーディーさから全く「作られた感じ」がしません。
7巻の最後まで各巻で「気になる」展開が何度もある
ということで、
- 物語を通じて「光の謎」が気になる
- 登場人物がロジカルで、見ていて面白い
というのがこの作品の面白さのポイントです。
で、7巻完結と短い漫画なのですが、「気になる」展開が何度もあるのも特徴です。
- 「その人と付き合うの!?」
- 「その恋は進展しないの!?」
- 「そこで告白するのか!?」
みたいな「恋愛漫画ならではの盛り上がり」がしっかりと散りばめられていて、飽きずに読めます。
しかも「すれ違い」的な展開も、登場人物たちが自身の考えに沿って「ロジカルに動いている」がゆえに発生しているので納得感があります。
恋は光のネタバレありの最終回考察
ファンタジー恋愛漫画「恋は光」の最終回までのネタバレありの考察&解説です。
- 光の正体
- 最終回で主人公の西条が選んだ女性
- 北代、東雲、宿木の役割について
などを、主観的に語ります。
「恋は光」の最終巻7巻(最終回)の内容を先にまとめておくと、以下の通りです(ネタバレあり)
- 西条の見る光の正体は「恋の本能」だった
- 北代は「恋の対象」ではなく、振られる
- 西条と東雲が結ばれる
「恋」を扱った本作だからこそ、最後に「東雲が選ばれる」という結末に着地しました。
変化したのは東雲。成長したのは宿木
この作品で大きく変化したキャラクタは東雲です。
今まで避けていた俗世と関わり、携帯電話を持ち、男性とデートにも行き、「知らない世界」を知っていきます。
一方で、成長したのは宿木です。
宿木は西条との恋愛を通じて
- 好きという感情を知った
- 女性の友人を得た
という変化がありました。
それ以上に注目するべきは「自分自身」と向き合い、新たに前に踏み出そうとしたことだと思います。
あまりにも純粋すぎる東雲の気持ち。
あまりにも真っ直ぐすぎる北代の心。
それらを間近で見ていた宿木。
彼女は、自信を「俗物」であり、「何者でもない」と客観します。
「略奪」という形でしか、他人と恋を出来ない彼女。
それ故の物語の顛末として、西条と結ばれることはありませんでした。
そんな「失恋」をまっすぐ受け止めて、「自身の行いが最低だった」とも認めています。
こんなキッカケが無かったら、彼女は市場価値の高い男を捕まえることが全てになっていたんだろうな、とも思います。
※東京女子図鑑の主人公みたいな感じになっていたはず。
反転される「言葉」と「光」
後半になるに連れて、宿木のことが魅力的に感じました(少なくとも自分は)。
その理由は「言葉」と「光」が反転しているからだと気づきました。
前半では
- 言葉:「西条のことが好き」と語る
- 恋の光:光らない(恋していない)
という感じでして、嘘つきで性格悪く感じてしまうキャラ造形でした。
しかし後半では
- 言葉:「西条のことが好きではない」と語る
- 恋の光:光る(恋している)
とまるっきり反転しているんですね。
しかも、その「好きではない」と語る理由が「相手思い(幸せになってほしい)」からきています。
前半の彼女では考えられなかったその成長こそ、我々が感動するポイントなのだと思います。
【まとめ】「恋は光」は変わった恋愛漫画好きにオススメ
個人的に好きな少女漫画は
- 「海街diary」
- 「ハチミツとクローバー」
- 「のだめカンタービレ」
あたりです。
「恋は光」は、そういった感性系の漫画とは違った面白さがあって新鮮でした。
ファンタジー要素(光設定)は作品の前提としてあるだけで、基本的には「まっとうな恋愛漫画」です。
って感じで、
- 普段あまり恋愛漫画を読まない人
- 普通の恋愛漫画に飽きた人
が、読んでみると面白いと思います。