石黒正数の短編作品はどれも面白いけど「外天楼」が一番好き【感想レビュー】

石黒正数さんの短編作品はどれも面白いのですが「外天楼」(げてんろう)が一番好きです、って話。

石黒正数さんは「それでも町は廻っている(それ町)」や、このマンガがすごい!2019オトコ編第1位獲得の「天国大魔境」の作者です

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石黒正数さんといえば短編!

石黒正数さんといえば「短編作品」がめちゃくちゃ面白い漫画家です。

石黒さんの短編作品は数多くあります。

  • Present for me 石黒正数短編集
  • ポジティブ先生 石黒正数短編集(2)
  • 探偵綺譚 石黒正数短編集(1)
  • ネムルバカ

その中でもダントツで面白いと思っているのが「外天楼」です。

 

「外天楼」がめちゃくちゃ面白いって話

「外天楼」は、メフィスト(講談社のミステリ小説誌)の連載作品を集めたのが本作です。

 

外天楼は一見ただのコメディ・ギャグ短編

一見ただのコメディ・ギャグの短編だと思いました。

というのも、最初の短編が「成人向け雑誌を買いに行く少年たちの葛藤・挑戦を描く」話です

引用元:外天楼

引用元:外天楼

「悪魔の棚から本を取ると目立つから、女神の棚から取るべきだ!」みたいな議論をする少年たち。

バカバカしい話を真剣に描くシュールな面白さですw

※一応この話は、何故「成人向けの本」がゴミ捨て場に捨てられていたのか?というミステリーです

 

次は第2話「宇宙刑事vs.ディテクト」。

引用元:外天楼

引用元:外天楼

 

宇宙刑事ズバンが倒した戦闘員が「実は人間」で死んでいた。

誰がそれを仕組んだのか?…というミステリ風味の話になっています。

引用元:外天楼

引用元:外天楼

 

その後の短編も、ミステリあるある風のパロディギャグが満載。

1話1話の、ネタも面白く、短編それ自体で充分満足できる出来でした。

しかしそれだけじゃないのがこの短編集…!!

 

気づいたら再登場している登場人物たち。つながっていく話

外天楼を読み勧めていくと、気づいたら登場人物たちが再登場していくんですね。

そして、過去の読み切りと思った話がつながっていく。

 

最初に「成人向け雑誌」で騒いでいた少年たち。

彼らが大人になって出てくる。

そして、衝撃的なことを語ります

 

「え、前半のあの話ってここに繋がるの?」

「あれって伏線だったの?」

とにかく驚きで、突然頭を殴られる感じ

 

1話それぞれが完結していて完成度高いなーと思っていたのですが、違いました。

単行本1冊通して読むことで、本当の面白さが分かる作品でした。

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外天楼ラストについて(ネタバレあり考察)

外天楼ラストについてネタバレありで語ります。

アリオの姉「キリエ」に魅了された人々の話でした。

「芹沢」はキリエのことが好きでしたし、父親もキリエに陶酔していた。

キリエがアイスをいつも食べていたのは、ロボットだったとわかったときの衝撃は忘れられない。

※そして一人だけ年を取らなかったのもしっかり意味があったという

 

あと冴子刑事は、ナイフを刺された際の「ザギン」って効果音と、血が出ていない描写を見るに、ロボットで確定ですね。

こういうそれぞれのキャラクターが何者かが徐々に分かるのが最高でした。

 

そして最後に二人が死んでいくシーンも良い。

ギャグから始まったのに妙な感傷で話が終わるんですよね。

ギャグとSFとミステリーがごちゃ混ぜで最高です

それ町作者の石黒さんの作品の素晴らしさは「様々なジャンルがごちゃ混ぜ」な感じだと思います。

外天楼も「ギャグとSFとミステリー」がごちゃ混ぜで、そこにちょっとしたスパイス(ダークさ)が混ざっています。

結果、食べたことない複雑な味の料理を食べたような読後感。

 

「このマンガがすごい!2019オトコ編第1位」を獲得した「天国大魔境」も面白くなりそうですし、「それでも町は廻っている(それ町)」も何度も読みたくなる面白さがあります。

ただ、個人的にはこの短編の複雑さ、衝撃が忘れられません。

ミステリーを読む人であれば、かなり楽しめる一冊です。おすすめ!

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