メメント・モリとは「自分が必ず死ぬことを忘れるな」という意味ですね。
どういう経緯で作られた言葉なのか解説します。
目次
Memento Mori(メメント・モリ)とは どんな意味?
メメント・モリとは、ラテン語でMemento moriと書きます。
「死を記憶せよ」「死を想え」などの意味もあります。
以下の2つの単語から構成されてます。
- 思い出せ(Memento / Remember)
- 死(Mori / Death)
メメント・モリの意味「今を楽しめ!我々は明日死ぬから」(古代ローマ)
古代ローマ時代、戦いに勝った将軍は、凱旋パレードを行います。
当然、人間ですから、浮かれた気分になるでしょう。
そこで、気持ちを引き締めるために、将軍の使用人が後ろから「メメント・モリ」と呼びかけていたそうです。
このときの意味は、「今日は勝利して絶頂にある。しかし明日はどうなるかわからない」です。
日本でいうところの「勝って兜の緒を締めよ」ですね。
また、「どうせいつか死ぬんだから、今日を楽しもう」的な意味合いもあるようです。
当時、「メメント・モリ」の趣旨は carpe diem(今を楽しめ)ということで、「食べ、飲め、そして陽気になろう。我々は明日死ぬから」というアドバイスであった。ホラティウスの詩には「Nunc est bibendum, nunc pede libero pulsanda tellus.」(今は飲むときだ、今は気ままに踊るときだ)とある。 ※Wikipediaより
キリスト教でも使われたメメント
キリスト教は以下のような教義です。
- 神を信じるものは「死後」に救済される
- 神を信じない者は「死後」に地獄に落ちる
現世利益より、「死後」の世界のことを考えろ、という考え。
「メメント・モリ」ですね。
キリスト教世界では「死を意識させる」ための様々な芸術作品が生まれました。
それが、庶民の間に広まり、日々の「死の意識」が生まれました。
大体が「骸骨」モチーフだったらしいです。
「骸骨」という現実にあるものを使った、と(天使などとは異なりますね)
今街中で「骸骨の絵やモノ」を見るのは、この「メメント・モリ」思想が発端かも。
メメント・モリがモチーフのもの
メメント・モリをモチーフにした作品、言葉の中で有名なものをまとめました。
スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学のスピーチと「死を思え」
2005年のスタンフォード大学卒業式でのスティーブ・ジョブズのスピーチは有名です。
ジョブズはスピーチの中で、3つの話をしました。
1つ目は「点と点をつなぐ」という話。
2つ目は「愛と敗北」という話。
そして3つ目が「死」についての話です。
「スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチ – himazu archive 2.0」より引用します。
17歳のとき次のような一節を読んだ。
「毎日を人生最後の日であるかのように生きていれば、いつか必ずその通りになる」。
それは印象に残り、それ以来33年間毎朝鏡を見て自問している。
「今日が人生最後の日だとしたら、私は今日する予定のことをしたいと思うだろうか」。
そしてその答えがいいえであることが長く続きすぎるたびに、私は何かを変える必要を悟った。
自分が間もなく死ぬことを覚えておくことは人生の重要な決断を助けてくれる私が知る限り最も重要な道具だ。
なぜならほとんどすべてのこと、つまり、他の人からの期待や、あらゆる種類のプライド、恥や失敗に対するいろいろな恐れ、これらのことは死を前にしては消えてしまい、真に重要なことだけが残るからだ。
いつかは死ぬということを覚えておくことは落とし穴を避けるための私が知る最善の方法である。
何かを失うと考えてしまう落とし穴を。あなたはもう丸裸だ。自分の心のままに行動しない理由はない。
Mr.Children(ミスチル)の『花─Memento-Mori─』
1996年4月10日に発売されたMr.Children(ミスチル)の11枚目シングル曲が『花─Memento-Mori─』です。
「花」が発売された頃のミスチルは売り上げ的に絶頂期でした。
しかし、ボーカル桜井和寿は自殺を考えるほど追い詰められていました。
※この時期に出たアルバム名は「深海」(深い海の底にいる自分)
そんな中、友人に勧められた藤原新也さんの本「メメント・モリ」に感動したそうです。
そして、「花」という曲に「Memento Mori」という副題をつけたそうです。
クリストファー・ノーランの名作映画「Memento(メメント)」
クリストファー・ノーラン監督の映画「Mement(メメント)」も有名です。
彼は、たくさんの映画を作っています。
有名なのは、「バットマン」シリーズ2作目の「ダークナイト」です。
この映画は、世界の興行収入歴代4位を記録した大大大ヒット作。
これ以降も、「インセプション」「インターステラー」「ダンケルク」などもヒットさせています。
そんなノーラン監督の若き日の作品がメメントです。
弟の「ジョナサン・ノーラン」が書いた短編小説「Memento Mori」が元になっています。
作品の内容としては、めちゃくちゃ頭を使うミステリという感じ。
ネタバレしたくないので、詳しくは言いませんが、映画を1000本近く見ている私の生涯ベスト10に入る映画です。
メメント・モリについてのまとめ
メメント・モリについてまとめます。
- メメント・モリは「自分が死ぬことを忘れるな」という意味
- ジョブズ、ミスチル桜井、ノーランなどのクリエイターもモチーフにしている
映画の題材そのものになっているクリストファー・ノーランの「映画メメント」が名作なので一度見てほしいです。